昔から、キッチンに自分以外が立ち入ることを母は異様に嫌うところがあり
私は幼い頃から料理やお菓子づくりなんかをしたかったのですが、ちょっとでもキッチンを触られて自分の気に入らないこと(物が定位置に仕舞えてない・食材を勝手に使われる等)が起こると不機嫌になってキレるし
母は何でも「危ない!危ない!」と、刃物や火から子どもを遠ざけ(結構いい歳になってからも)
子どもの頃はずっと『私が怪我するのを心配してくれているのだなぁ』と思っていましたが、おそらくこれは「子どもを心配している」というよりかは
「子どもが火傷や怪我をして、自分が面倒なことに付き合わされたくない」から、あんなにうるさく言っていたのだろうなと思います。
こんなだから、気軽にお手伝いもできないし、自発的に手伝うというよりかは「母に言われて手伝った」経験しかありませんでした。
なので『こういうものを作りたいからキッチン貸して』とも言いづらいし(大体『貸して』も、おかしいのだけど)
かといって『こんなものをお母さんと一緒に作りたい』なんてことも、絶対に言えませんでした。
幸い、年上の姉がいたし、お菓子づくりくらいは時々一緒にやっていましたが
そういう時は本当に楽しくて、心の中で母に申し訳ないと感じながらも、『こんなお母さんだったら良かったのに』と、思ったものです。
そのうち姉も大学生・主婦になり、お菓子作りなんかも一緒にしなくなりましたが、私も歳を取って、お菓子(バレンタインとか)を、渡したい人が出てきます。
お菓子づくりをするには、一定時間、キッチンを使うことになります。
私は母にそれを言うのがどうしても勇気がいるので、嫌でした。
母は、自分が料理したいとなった時にキッチンを使われていると不機嫌になるのはわかっていたし、使わないであろう時間帯を狙って『後でキッチン使っていい?』と聞いても
不機嫌そうに「何作るん?」「別にええんちゃうの?手づくりなんかせんでも」みたいに言われます。
夜中にやっても「こんな遅くに」とか、「早く終わらせろよ」みたいな圧がすごいので
結局、バレンタインも何度か手作りをやりたかったけど、利用時間を交渉し、母からの圧に耐えながら作るくらいなら、買ったやつでいいや…と、手づくりのお菓子を渡せたのは2度ほどでした。
しかも、私が料理とかお菓子づくりをやりたいと交渉するのに、そうやってやたらと気を遣っていたのは20代になってからの方がひどくて、なぜだったのかなぁ?と考えてみると
手づくりしたのを覚えているのは高1、高2くらいの時ですが、その頃は私も結構放任されていた(母が外で男の人とよく遊んでいた)時期だったからだろうなぁ、と。
友達なんかは「バレンタインの本番の前にお母さんと練習で作った」とか「彼氏にあげるのに、結局ほとんどお母さんが作った(笑)」とか
仲睦まじく母娘でお菓子作りをしている様子を時々話していましたが
私の家ではありえない光景でした。
元々、母は豪快・適当にやる料理は好きでしたが(そのせいで時々失敗していましたが)
「分量をしっかり計る」とか「手順をしっかり読む」等ができず、お菓子づくりは嫌い!とよく言っていたので、余計かもしれません。
最近、姉の家に遊びに行った時に、姪(姉の娘)が「チーズドッグを作りたい」と言っていたらしく、姉と一緒に材料の買い出しに行って、3人で一緒に作り(途中で姪は飽きて、スマホをいじり始め、最終食べることにだけ専念していましたが)
そんなふうに過ごす姪が、心底羨ましかったです。
これが本来の母娘の姿じゃないのかなぁ…と、しみじみ考えていました。
母には『自分1人でやる』と言っても何だか監視するように「大事なキッチン、使わせてやってるんやぞ」みたいな圧を感じるし
かと言って母を巻き込んだって「たりのやりたいようにやってごらん」なんて口が裂けても言わない母でした。(どうせ「そんなやり方じゃあかん!」とか、「もうええわ!貸して!」とイライラされるのが目に見えてる)
もし子どもが途中で飽きたり、失敗しようものなら「それ見たことか」「だからそんなことしなくていいって言ったのに!」みたいに、ボロクソに言われることも安易に想像ができます。
母も幾分か「娘の目線に立って、一緒に楽しむ」ことができていたら、印象は違っていたのかもしれません。
ですが、最近になって『子どもなのは、母のほうだったのだ』『小学生くらいの精神年齢で、子育てしていたのだから』と思うようになって、それは無理な話だろうなとも思います。
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