もう理由なんかなくていいの

毒親との暮らし。離れるまでと離れてからのおはなし。

依存症と心の穴

山口達也さんが酒気帯び運転で逮捕されました。

それに合わせて、依存症啓発漫画がトレンド入りしています。

アルコール依存症の旦那さんとのお話を描いたものはとても興味深く、さらっとですが全話読んでしまいました。

 

父は昔から毎晩ウイスキーを数杯飲んでいて、小さい頃はどこのお父さんもそれが普通だと思っていたし、それで大きな迷惑がかかることはなかったけど

歳を取るにつれて酒には弱くなるわ、定年退職してする事がなくなると量は増えるわの悪循環で、そのせいで玄関で転んで怪我をしていたこともあるし

注意しても「俺はアル中やない」とか「(酒を)やめようと思えばいつでもやめられる」と依存症の人のテンプレ通りの返事しか返ってこず、結局また飲むの繰り返しでした。

依存症の人に対し「家族が世話をしすぎない」ということも注意点として漫画にありましたが、これについては父の飲酒を母が助長させるようなことをしていたので、私はもう途中から関わるのをやめたという感じでした。

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泣いて訴えたこともあったけど結局最愛であるはずの娘の声も届かないことがわかって、正直もう父も老い先短いし、自他共に「今更」という気持ちがあったのだろうと思います。

少なくとも私にはそういう気持ちがありました。

 

私は、途中から母の異常さにも気がついていたし、酒に関しては父は病気なんだろうな、正論を言っても無駄だろうなというのもわかったので注意したりするのをやめましたが、母は万事が「正か誤か」の二択でしか話のできない人だったから、そういう母の考えなり言動が余計父を追い詰めていたのだと今は思います。

正直、母がこんな態度やから酒も飲みたくなるよなとは何度も思ったし、実際に母に言った事もありますがそれを言うと今度は「たりは父さんの肩持つんか」でしたからね。

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また「敵か味方か」の二択。はいはいって感じです。

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当時は私も自分の家庭に不完全な部分なんてないと思っていた(と言うか、思いたかった)ので、うちって立派な機能不全家族だったのだなと自分で認めたのも父が亡くなって数年経ってやっとでした。

(多分当事者がなかなか依存症や機能不全と気がつかないのは、認めたくないのもあると思う)

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何にせよ、依存症になる人は心に穴が空いていて、それを埋めるものがたまたまお酒だったりギャンブルだったりクスリだっただけで、それらでその穴を埋めても何の解決にもならず、物理的にやめたとしても心の穴を埋めない限りはまた何かしらの依存をしてしまうというのが漫画の中で一番印象的でした。

 

私の場合は笑って済む程度ですが、一時期欲しくもないのに半ばヤケクソに買い物をして(主に洋服)買っても買っても満たされない時がありました。

借金こそしなかったものの、チケット代や交通費の支払いと重なった時、本当に「貯金が底をつく」状態になりかけて(当時は実家暮らしでしたが)さすがにまずいなと感じ、その頃からだんだんと『私は一体何にイライラしてこんなお金の遣い方してるんだろう』と考え始めたように思います。

ショップ店員に顔を覚えられ、毎度大きな紙袋を持ってショップを出る一瞬はスカッとするんですが、買った服に愛着もわかないし

結局一時的に楽しい気分になっても、何の解決にもなっていないことにだんだん気がつき、何年もかけて自分にとっては心に空いた穴を「何かを足して埋める」よりも「やりたくないことを無理してやらない」ことの方が埋められると気が付いたのでした。

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私は、依存症に関しては何とか自力で気が付ける「浅瀬」に居ましたが、穴が大きければその分依存も深刻化するだろうし、家族やパートナーにも迷惑がかかるかも知れません。

 

私も昔はそういうのを「甘え」と思っていたけど、誰しもなりたくて依存症になる訳ではないんだとわかってからは父自身にももう少し根本的な問題に向き合うという意思とか、周りの環境もあれば父も変わっていたかなぁとも思いますが、あの家ではあの母が居る限り無理だったとも思います。

紛れもなく、母があの家の「癌」だったと思うから。

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私が生きていて一番嫌だった時代、父も一番酒に溺れていたので『あの頃父さんが酒飲みたくなった気持ちもわかる』と父が亡くなり数年経って何度か母にも言ったことはありましたが、母は必ず「酒はキチガイ水やからな!」とだけ吐き捨てて終わり。

酒が悪い!酒飲む奴が悪!だけなんです、結局。

 

まぁ、母のこういう言葉を聞く度に諦めがつきますけどね。

こんな考え方しかできない頭じゃ、そりゃマトモに子育てもできる訳ないわな~と。