母と同じ職場で働いていた頃、もうこの会社で働くのも限界だなと感じ退職を決めましたが、もちろんあのうるさい母のことなので退職には反対していました。
私に『やっぱり退職するのやめるわ』と言わせたかったのだと思います。
幼い頃から何でもそうやって母が気に入らないことはしつこく言えば娘は『もうわかったから』と、折れてきましたからね。
退職までの日々、毎日母からの小言は死ぬほど鬱陶しかったけど、既に私は家を出ていたので『とりあえず(職場で顔を合わせても)私には母から逃げられる家がある』ということが自信になっていたし『何とでも言え』と思い、聞き流すことができていました。
昔、家族旅行を気乗りしないから行かないと言っただけで(もう私も20代も半ばになっていたのに)「なんでや」「行かんかったら後悔するで」「ほんまに行かへんのやな」「(行かへんなんて)ほんまこの子アホやわ」などと、出発する寸前まで言っていましたが、まさにそれと同じ状態でした。
その後数年経ってから母に「たりは相当あの会社が嫌いやってんな」と言われたので『急に何で?』と聞くと、どうやら母の同僚から「今だから言うけど、たりちゃんが会社辞めるって言った後、顔つきが変わったもんね。表情がパッと明るくなって…よっぽどこの会社嫌やったんやね(笑)」と言われたそう。
表情を見抜いたその人は、前々から『この人は人の気持ちを察するのがうまいだろうな』と私も警戒していた人だったのでわかる人にはわかるのだろうなと思いました。
ちなみに、母からは私の顔つきを見て「元気ないね」とか「何かあった?」みたいな声掛けなど1度もされたことありません。
脅すみたいにしんどいのか、機嫌が悪いのか、何か気に入らんことでもあんのか等と聞かれたことはありますが。
私はいつも気難しい表情をしている自覚はあるので全然そんなことないのに怖いとか怒ってる?とかよく言われるのにももう慣れましたが
そんな私が、たったそれだけのこと(会社を辞めること)で見る人が見ればわかるほど表情が緩んだあたり、潜在的な感情は無意識レベルで見た目に表れるものなのかもしれません。
先日、メイン職場でたまに雑談するおじさんから「前から聞きたかったんだけど春(3月末)に一度契約が終わってまた夏から来られましたよね。その数ヶ月にたりさん何か良いことありましたか?」と言われたんです。
そのおじさんも少し変わった人で、私と波長が合う人なんです。
人を見る目というか、見えない何かを見抜く独特のセンスがあるのだろうなというのも前から感じていた人です。
昨年は国をあげてのステイホーム期間と無職期間が重なったから気持ちも楽でしたが、さすがに2年目の春も趣味のイベントは軒並み中止、友達にもまともに会えないとなるとちょっと塞ぎ込んでしまって
お金が苦しいから早く働きたい反面、メイン職場への復帰もあまり気乗りしていませんでした。
ヘアスタイルやカラー、メイク、ネイルも最低限のケアのみで特にイメチェンだとか変わったことはしていません。
変わったところと言えばここ1年くらいで2~3キロ太ってしまったくらい。
答えに困り『前と比べてだいぶ太りましたよ』と言うと、おじさんいわく「うーん、そういう見た目の問題でなくて」「たりさんの雰囲気が(良い意味で)すごく変わった」と。
単純に足掛け3年も居たら職場に慣れてきたというのはあります。
『ここの空気に慣れてきたんちゃいますかね』と言うと「慣れるの遅っ!」と笑われましたが
「でもほんと、パッと表情が明るくなった、良い顔してる」と言っておじさんは仕事に戻りました。
本当に、思い当たる節なんてないけど、挙げるとすれば自分のペースで日々暮らせているというのが一番の理由だと思います。
家に帰れば誰の顔色もうかがうことなく、好きな時に好きなことをやれて…こんな当たり前のことをアラサーになり初めてできるようになり、数年経った今でも毎日そのありがたみを噛みしめて暮らしています。
仕事も1箇所にどっぷりはまらず、いい距離感で掛け持ちもできています。
自分で『メンタルが安定しているぞ』なんて感じないですが、人が見てどう感じたかが一番の答えなのかもしれません。
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